Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

ゴルフ名言の綾を味わうには、  ゴルフからちょっと離れて空想することが一番だ!

❖ ゴルフ歴30数年ともなると、ゴルフの生活に及ぼす影響は並々ならぬものがあることを感じる。そんなことを具体的な言葉で表している名言があることに、ゴルフの味わい深さを感じたりしている。そんな内容の名言を1つ取り上げてみたい。

 

❖ 100シューターはゴルフをおろそかにし、90シューターは家庭をおろそかにし、80シューターはビジネスをおろそかにし、70シューターはすべてをおろそかにする、と。実に言い得て妙である。感嘆してしまう。ゴルファーの皆さんは胸に手を当ててみてください。それぞれシュートの数のゴルファーには思い当たることがあるはずだ。それぞれのレベルの違いにより、思い当たる深さが異なることであろう。

 

❖ この言葉は作者不明で、アメリカでは古くから知られている言葉と、摂津茂和著「ゴルフ名言集➂」に書かれている(夏坂健の著作ではデビット・ロイド・ジョージとなっている)。ゴルフが上達し、80台70台のゴルファーになると、ゴルフのことばかり考えるようになるため、家庭はおろか仕事にも影響し、シングルプレーヤーは、何はさて置いてもゴルフを第一に考えるようになる。「すべてをおろそかにする」という表現は実に言い得ている。

 

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                                  英国の元首相デビット・ロイド・ジョージ

 

❖ ゴルファーについてはさまざまな言い方がある。たとえばアベレージゴルファーとか、月イチゴルファー、シングルゴルファーなどである。アベレージとは平均的ゴルファーのこと。平均的とは数が最も多いゴルファーで、95~105程度で平均して100スコアを指しているようだ。月イチゴルファーはアベレージゴルファーとシングルゴルファーの間ぐらいだろうか。シングルに向かって努力しているゴルファーたちのことだろう。

 

❖ シングルゴルファーはその名のとおり、ハンシキャップが1~9までのゴルファーである。とはいっても片手ハンディの人と両手の人ではかなり差がある。おおかたは後者の人達を言うことが多い感じがする。後者は75~85辺りで回れるゴルファーである。いずれにしても上記の名言と照らし合わせてみるとそれぞれ納得するところである。

 

❖ ゴルフの好きな人は「ゴルフ名言集」を読むことが多いと思われるが、過去にさまざまな著作が出版されている。中でもぜひ注目したいのが、摂津茂和の著作と夏坂健の著作である。摂津茂和(1988年没)は世界的に著名なゴルフ史研究家で優れた書作も多い。ゴルフミュージアム廣野ゴルフ倶楽部内)の設立に多大な貢献をした人で、小説家でもあった。「不滅のゴルフ名言集」①~➂(ベースボールマガジン社/2009年)は読み応えがある。

 

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❖ もう一人の夏坂健(2000年没)は「読むゴルフ」の世界を創った人で、この人ほどゴルフファンに愛されている人はいないであろう。健在であれば84歳で、その後にかなりの著作を発表しゴルフファンを楽しませてくれたであろうにと、誠に残念である。彼の残した名言集には「ゴルフの奥の手~名言のホールインワン」や「騎士たちの1番ホール~不滅のゴルフ名言集」などがある。

 

❖ ゴルフの奥深さと人間の心理に共通するものを持つスポーツはゴルフに優るものはない。それだけに下手は下手なりに、ベテランはベテランなりにゴルフから人間世界をみることになる。そこが何よりも面白いというのがゴルフの世界である。おしまいに夏坂健著の「騎士たちの1番ボール」から上述と同じ名言を取り上げよう。こちらは英国の元剛腕首相デビット・ロイド・ジージの言とある。

 

❖ ハンディ30の人はゴルフをおろそかにする。ハンディ20の人は、家庭をおろそかにする。ハンディ10の人は、仕事をおろそかにする。ハンディ10以下の人は、すべてをおろそかにする。翻訳によって異なるようだが、こちらの方が分かり易い感じがする。彼はこんなことも言っている。ゴルフは一番下手な人がいちばんトクをする唯一のゲームである。なぜなら上手い人はわずかなミスにもクヨクヨするのに対し、下手な人はクヨクヨするにはミスが多すぎるからだ、という。こちらも言い得て妙である。

 

 

 

 

定年後の人生に“ゴルフ生活”を   選ぶ人たちの勇気と喜び!

 ❖ 定年後“ゴルフ人生”というこれまでの仕事と縁を切り、新たな人生の道を切り開く人々がいる。その姿を書籍にして、ゴルフ世界の素晴らしさをわがものにして人生を送っている人を紹介しよう。「定年」という人生の1つの区切りを控えている人、またすでに迎えている人のこれからの参考となれば幸いである。

 

❖ 気力、体力、知識欲など、定年を迎えたとは言え、まだまだ現役と比べて引けの取らぬと認める人も多いことであろう。それだけにこの余りある時間をどう生かして過ごすか、それには大きく2つの道があるように思う。1つはこれまでの仕事を生かした職種を選ぶ人、もう一つは全く新しい分野にチャレンジする人である。

 

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❖ 後者の新しい道としてゴルフを選んだ人の姿を描いた書籍を紹介したいと思う。定年を迎えた大学教授が継続して学問の道を選ぶのではなく、ゴルフの道を選び、シニアとゴルフの豊かな生き方を書いた佐藤拓宋著「定年後はゴルフでシングルの腕前をめざそう」(亜紀書房刊/2000年)は大いに参考となる。工科系の学究生活を40年務めた教授だけあって、内容の論理的分析とその取組み方は読者をゴルフの世界に誘う魅力がある。

                                                                                                    

❖ 著者は後者を選択し、ゴルフの世界に突進する。定年になって著者は、学問の専門の道を捨て、長年励んできた上級クラスのテニスも退けてゴルフを選ぶ。その選択はなぜか。選び方の条件がユニークである。

 

❖ ゴルフの選択条件をあげると、(1)結果が数値で表現されること。これは上達のレベルが明確で公式的なもの。(2)若い人と対等にプレーでき、勝負もできるもの。体力低減で能力が落ちる種目は気力が萎(な)える。(3)自然環境のなかで楽しめるもの。自然の変化と解放感が味わえるもの。以上3点が自分の求める種目に沿っているとしてゴルフを選択したという。

 

❖ 定年が間近になったころ、ゴルフ情報に接する機会が多くなり、日刊スポーツで募集していた「アメリカゴルフ留学」の募集広告が目に入った。最初から始めるなら留学して覚えてきた方が手っ取り早いのではと思い立ち、定年になったその年に応募する。プロを目指す若者と一緒に参加したスクールは「セントジョージ・インターナショナル・ゴルフ・スクール」。セントジョージ市はラスベガスから車で2時間ほどに位置する街。

 

❖ それから獅子奮迅の活躍が始まる。スクールは短期、中期、長期のクラスがあり、授業内容も、コーチ陣もしっかりしている。著者は体力を考慮して短期コース(1カ月)を選び、2年間に5回受講を果たしてシングルとなる。本書は元大学教授の2年間シニア武者修行の姿を克明に記したものだが、詳細の内容は本書に譲るとして、例を挙げると次のような内容だ。

 

❖ 「60歳からゴルフを学ぶことの素晴らしさ」ではシニアがゴルフをすることの魅力を語り、ゴルフ留学の内容や生活するセントジョージ市の環境、「ゴルフ研修のメニュー紹介」では、レッスンの内容やトーナメントへの出場、PGAツアーの見学、現役のプロゴルファーの指導など、実践型レッスンの豊かさを記している。

 

❖ 著者の共感した言葉に、日本のシニア大会で優勝したゲーリー・プレーヤーの優勝会見での言葉がある。「62歳の私が今回証明したのは、ゴルフのすばらしさだ。たとえ70歳になっても優勝できるスポーツだということだ。他にこのようなスポーツがあるだろうか。」(G・プレーヤーはキャリアグランドスラム達成者した5人の一人。1935年南アフリカ生まれ。)

 

❖ この書籍は定年後ゴルフを選ぶ人々ための良き事例となろう。著者の佐藤拓宋氏は東京工業大学の教授であったが、夫人は音楽家の森ミドリ氏。本文中に、妻からみた夫の定年の姿が書かれている。いつも前向きな取り組む姿勢が夫人にも影響している様子・・。仲の睦まじさがつづられている。この睦まじさもシニア生活には不可欠な要素の1つなのである。

 

 

衰退する日本のゴルフ市場におけるインバウンドの役割とは・・・・

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              インバウンド・ゴルファーの後進国“日本”、

                        積極的取組みでゴルフ人口は増やせるか?

 

❖ 前々回、ゴルフツーリズム・セミナーの様子をレポートしたが、ゴルフにおけるインバウンド・ゴルファー(訪日観光客ゴルファー)数が余りにも少ない現状は、見過ごすことはできない段階にまで来ている。全国のゴルフ場関係者は真剣に取り組む必要があるのでなかろうか。我々ゴルファーも理解が大切で、その意味で取り上げてみたい。

 

❖ いま、ゴルフ業界は先の見えない状況に包まれている。衰退の方向に歩んでいるのだ。その原因は、まずゴルフ人口の減少が止まらないこと、それに伴い、ゴルフ市場が縮小していることだ。反面ゴルフ場自体はそれ程減っていない。少子高齢化や若者のゴルフ離れ、ライフスタイルの変化などに原因がある。

 

❖ 「レジャー白書」によるとゴルフ人口が昨年2017年は550万人と最盛期の60%強の減少だ。驚くしかないが、この現象の数字に疑問を持つ専門家もいる。市場規模も最盛期2兆7400億円が1兆3500億円と半減している。3年前の数字でる。こうした人口と市場規模の縮小は、日本経済の動向や一般生活者のライフスタイルからみると回復する見通しが生れ難い。さあ、そうすればいいのだろうか。

 

❖ この現状を改善するために、PGAの諮問機関、経営戦略会議が1年をかけて作成した提言書が発表された。「ゴルフ市場再活性化に向けた新たな提案」という提言書である(2014年公表)。この提言の中には18の戦術課題が掲げられているが、その1つに「インバウンド・ゴルファーの誘致」(訪日観光客ゴルファーの誘致)が上げられている。

 

❖ この提言に応えるかのように2015年に日本ゴルフツーリズム推進協会が発足し、観光資源の1つである日本ゴルフツーリズムの振興とゴルフ経済効果を押し上げて行く目的で様々な活動が展開されている。前々回「ゴルフツーリズム・セミナー」の簡略なレポートをした活動もその1つである。

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❖ ともかく、ゴルフ業界は先ずゴルフ人口増加と事業規模の拡大を図らねば回復の見通しが立たない。このゴルフツーリズムに特効薬として大きな関心がよせられるもの必然であろう。海外の例をみると、2013年オーストラリアのインバウンドは2530万人、その内でゴルフプレーヤーが17.4万人、(総数の0.69%ほど)。タイでは、さらに2014年2480万人に対し40万人(1.61%ほど)も。

 

❖ それに対して同時期の日本は2000万人に対し12万人(0.6%)といわれている。この数字は2020年の目標4000万人では24万人となる。これからの取り組みによってはこの数字の倍0.12%、48万人に達することは可能ではないか、という観測もある。この48万人が消費する国内総消費額は、一説には2400億円に及ぶというから誠に大きい。(ある研究所の試算に基づく。)

 

❖ 仮に2015年のゴルフ市場規模1.35兆円の数字で見てみると18%ほどになる。2020年にどれほど市場規模は定かではないが、インバウンド・ゴルファーの役割の大きさがわかる。いずれにしても今後業界の取り組みによっては増加して行くインバウンドに対して、ゴルフ業界は真剣に取り組んで行く必要がありそうである。

 

❖ 本項はインバウンド・ゴルファーによる日本のゴルフ市場への貢献見通しについて触れてみたが、これを現実に結び付けるには、自治体とゴルフツアを扱うエージェントとゴルフ場、この3団体が密接な協力が欠かせない。その意味で、現在強力に取り組んでいる三重県や北海道の例を参考にしたい。下記にホームページを記しておいた。

 

❖ ゴルフ業界はまだまだ成すべきことが多い。身近のことでいえば、ゴルフ場やゴルフ練習場の改革も必須である。約2300あるゴルフ場の内、2020年には400場が余剰になるという。個々のゴルフ場が改革改善を図らないと明日の世界が見えない。我々ゴルファーがこぞって行きたいゴルフ場へ環境に変革してもらいたいものである。

 

参考資料:三重県の取り組み(日本ゴルフ経営者協会) 

         
www.mlit.go.jp/common/000204263.pdf
                 北海道の取り組み(北海道観光協会
      
www.mlit.go.jp/common/000204263.pdf
 
 
 
 

 

2019年ルール規則改定による 課題点についてのシンポジューム  開かる!

               ブログ [ Golf My Wonderland By Konno] こちらに移籍しました!

編集

     はてなダイアリー」の終了に伴い、ブログを移籍しました。
       新たな気持ちで綴ってまいります。よろしくお願いします。

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2019年ルール規則改定による課題点についての

             シンポジューム開かる!

 

❖ 日本ゴルフジャーナリスト協会は9月28日(金)主催「タウンミーティング」を新宿区民センターで開催し、熱心な討論会となった。テーマは「2019ルール改正を  徹底解剖!ゴルフ場で何が起こるか?」。会場にはゴルフジャーナリストをはじめ各分野の方々や一般のゴルファーも交えて熱心な討論がなされた。その様子を掻いつまんで紹介しよう。

 

❖ まず、最初にPGA専門競技委員の飯田雅樹氏の基調講演「2019年規則の主な規則の解説」が20項目にわたって紹介された。ゴルフ規則の改正はイギリスにある  R&A(イギリスのゴルフ協会を担う)とUSGA(全米ゴルフ協会)とが協議して  決める。その決定は全世界のゴルフの規則となる。今回の改定は包括的な見直しになっている。

 

❖ セミナーは飯田氏の説明と各業界の代表者が専門の分野から説明され、参加者の  意見も反映されるものだった。規則自体の変更の趣旨は「理解しやすく、 世界中で適用しやすい規則を作る」というところにある、しいては規則の簡素化がプレーの時間短縮へ繋がるように配慮されている。

 

❖ 改正の主な点は、ピックアップすると、ゴルフコースが5つのコースエリアに名称が変わること。ティーグラウンドをティーイングエリア、スルーザグリーンをジェネラルエリア、ウォーターハザードをペンルティエリアといった名称の変更といった具合――。距離計測機器の使用は認めらえる。しかし実施は各ゴルフ場のローカルルールに任される。

 

❖ ボールの捜索は5分から3分へ、ドロップはこれまでの肩の高さから膝の高さへ     変更、ストロークしたボールが自分に当たっても罰にはならない、救済処置は自分のマーカーに告げることになっているが、その必要はなくなった、また   救済を受ける時はいつでもボールを取り替えてもいい、バンカーで2罰打加えたらバンカー外にドロップできる、などなど。

 

❖ このほかにも数多く変更点があるが、講師の飯田氏は、この規則変更の概要が       JGA(日本ゴルフ協会)のホームページに掲載されているので参考にしてほしいと言っている。

http://www.jga.or.jp/jga/html/jga_data/04KISOKU_NEWS/2018_KISOKU/2019newrules20jgaver2.pdf

            上記のアドレスをクリックしてご参考にして下さい。

 

❖ パネラーの井手口香氏(東京都ゴルフ連盟所属、キャディ勤務)は、ゴルフ場の 対応が遅れていること、マナチュアゴルファーは現在でのルールブックを読んでいない。シングルの人や上手い人から聴くことが多い。人から聴くのは 不確かな部分が多いのでぜひご自分で確かめてほしい、という。上記のPGAの飯田雅樹氏はプロゴルファーにおけるルール認知は、これから研修会を開いて 対応して行くという。

 

❖ 首都圏で1000人程のアマチュア・ゴルファーを抱える社団法人ゴルフリサーチの長野豪洋氏は、アマチュアがゴルフをやめる理由には3つのストレスがあるという。(a)打てない(b)プレーが遅い(c)ルールが分からない、の3点で、ルールについてはほとんどルールブックを読んでいない。今回の改正を機会に、ルールが易しくなったのだから初心者には覚えてもらう積極的指導ができるのではないか、といって いる。

 

❖ このほか「プレイング4」が無くなるのに対してのゴルフ場の対応の仕方、グリーン上でピンを外さずにプレーできることへの問題~2打目でグリーンが 見えない場合、ピンを便りに打つが、グリーンでプレーしている場合もあり、 打ち込む可能性も出て くる、といった意見も参加者からあり、実施に関してのローカルルールの検討が重要な場合が多々あるようである。

 

❖ 今回のJGJA「タウンミーティング」はパネラーと参加者との熱い意見 交換が 生れ、それぞれに得るところが多かった。ルール改正の実施に関しては、プロ・アマチュアのゴルファーに限らず、業界全体が関心を持ち、実施に 関してはよりよく推進して行けるよう努力したいものである。

 

 

訪日外国人観光客のゴルフ場利用者は1%以下、なぜですか?

ブログ名 ~ Golf My Wonderland By Konno
はてなダイアリー」終了に伴い、こちらの
移籍しました!今後ともよろしくどうぞ!!


❖ 「日本のゴルフ場を中韓ゴルファーが救う!?」(取材/文・小川朗)という記事がゴルフ雑誌「パーゴルフ」9/18号に載っている。チャイナ資本が千葉のゴルフ場に進出している例、裕福層の中国人のみを対象とする旅行代理店、韓国人ゴルファーの北海道/九州に押し寄せる事例など、丁寧に取材してレポートしている。

❖ 少子高齢化とシニア層のゴルフ離れと、ゴルフ業界は将来に悲観的な患側が頻発しているなかで、いま日本ゴルフツーリズム推進協会がこの課題取り組んでいる。先日、日本ゴルフ場経営者協会と日本ツーリズム推進協会の主催で、「ゴルフツーリズムセミナーが文部省の講堂で開かれたので、ゴルファーに関心のありそうな課題をレポートしたい。

❖ セミナーは「世界のゴルフツーリズムと日本の現状について」と題して、3人の講師が登壇した。全体のテーマについて(北海道大学教授遠藤正氏/写真)、三重県のゴルフツーリズムの取り組みついて(三重県海外誘客課長松本将氏)、ゴルフの市場と人口の関係について(スポーツ庁参事官増井国光氏)がそれぞれ講演した。

❖ 講演のなかで、関心事をピックアップしてみると、かねてから政府が観光立国を打ち出し、外国人観光客の誘致を計ってきているが、一昨年(2016年)は2400万人、その中でゴルフプレー数は6万5千人、1%に遠く及ばない数だ。仮に毎年プレー数が倍増したとしても今年は26万人、予想3200万人の来日数で割ると、やはり1%にも満たない。この現状をみると、ゴルフ場業界はプレー数の減少を留める対策として、この訪日外国人観光客(インバウンド)に取り組む必要がありそうだ。

❖ 日本ゴルフ場経営者協会(NGK)のインバウンド受け入れに関する調査によると、まず2015年度の受け入れ実績は調査の回答289ゴルフ場中161ゴルフ場で、半数を越える56%、翌年の2016年度は回答225ゴルフ場中138ゴルフ場で、61%といずれも伸びている。この2年間の実績では、国別数でみると、韓国人が最も多く、次に台湾人、中国人とつづく。

❖ ではインバウバウンドゴルファーの地域別来場者数をみるとどこが検討しているか。2015年度では1位中部地域(静岡・愛知・岐阜・三重)2位が九州・沖縄、3位が中国地方(鳥取・島根・岡山・広島・山口)、翌年の2016年では1位九州地方、2位北海道、3位中部地方となっている。インバウンドに力を入れている三重、北海道が伸びていることがわかる。

❖ 数字は僅かではあるが、この2年間でインバウンドに注力している地域が増加しているということは、努力次第でこれからのインバウンドゴルファーの増加が期待できることを示している。その意味では、成功事例として各道府県と各ゴルフ場は大いに参考になるといえる。

❖ 上記の内容は主にインバウンドとゴルフ場利用の関係を、セミナー資料から拾い出しているが、この課題を推進して行くには、インバウンドの増加に伴い、リピーターと地域訪問化が進行しているなかで、地域観光誘致の1つとして行政の参加、各ゴルフ場の受け入れ体制、そしてゴルフを重視する旅行会社と連携し、積極的に誘致するアクションが必要である。それに対してゴルフ場におけるインバウンドへの関心度は余りにも低すぎる。

❖ この問題課題は、ゴルフ場業界にとって大きな存在なので、もう少しデータを集めて紹介できるよう次回もテーマにしてみたい。





 今は無き達人たち“大橋巨泉と  川上哲治”のゴルフ日記が面白い!

❖ 前回は漫画家の石ノ森章太郎の「ゴルフ超心理学日記」を取り上げたが、今回は分野が違っても我々にTVの楽しみを与えてくれて大橋巨泉、彼の書いた「わがシングルへの道」と、野球の楽しみをTVで家庭に届けてくれた巨人、川上哲治が綴った「ゴルフ狂」に触れてみたい。両方とも、その熱の入れようから浮かぶ男の魅力が実に楽しい。

❖ 巨泉は2年ほど前に亡くなったが、“遊びの天才”といわれ、あらゆる分野の遊びに精通した。司会業としての巧みなおしゃべりも、昭和元禄といわれたテレビ時代の寵児となった人物である。若い人には馴染みがないかもしれないが、シニア世代には青春を彩ってくれた人物でもある。

❖ 彼は人一倍のゴルフマニアで、シングルへの取り組みは凄いの一言につきる。その行状記がこの本で、1977年に講談社より、そして1993年には文庫本として出版された。内容はゴルフ手はじめからシングルになるまで、あの多忙な中での猛練習、文庫本には1977年から15年間が加筆されている。

❖ 一読して巨泉の並々ならぬゴルフへの情熱と、人生の伴侶となって行く姿がありありと描かれている。印象として残るところは、我流で始めたゴルフが壁に突き当たり、その度にプロに指導を受け、スイングを直して行く。シングルになるまでに何度壁を突破したごとか、その辺の彼のチャレンジ精神がよく描かれている。

❖ 彼はいう「アマチュアというものは、一つの段階でまとまってしまうと、そのぐらいのスコアではいつでも回れるかわりに、それ以上は進歩しない。ところが、90そこそこで回れるようになってからフォームを直すと、また100に逆もどりする。しかしそこで一つの進歩が生ずるのである。この辺があるかないかがポイントであろう」と。

❖ シングルへチャレンジする過程で、こうしたアマチュアゴルファーの陥りやすい場面を書いているところに巨泉らしさが随所にあって教えられる。あの超多忙のなかでも「ゴルフ手帳」を付けていたこと、その手帳からその時代その時代の過ごした実景を掘り起こし、掘り下げて書いている。

❖ もう一つ、川上哲治著「ゴルフ狂」は、週刊「ゴルフダイジェシュト」に2004年から2年間連載された「喜怒哀楽ゴルフ日記」を改題し再構成しまとめたものである(2006年ゴルフダイジェスト社刊)。日記というタイトルではないが、日記そのものだ。内容は3章で構成されている。

❖ 第1章「日々、頭の中はゴルフのことばかり」、第2章「あの人この人、ゴルフ交友録」、第3章「野球の極意、ゴルフの極意」、と分けられていて、80歳を超える齢にもかかわらず、ゴルフにかける情熱はアマチュアゴルファーのお手本そのものである。王貞治が「オヤジの今なお、少年のような情熱に敬服します! あの齢にして、上達にかけるあくなき探求心、私もマネしたいです。」と推薦文を書いている。

❖ 特に野球が好きな人には第3章に引き付けられるのではないか。野球とゴルフをくらべていわく、ゴルフ上達に役立つ野球練習法とか、宮里藍はさしずめ女イチエローと表現したり、キャディはキャッチャーと同じとか、野球とゴルフの飛ばしの条件など、打撃の神様がゴルフ論を展開する実に興味津々の内容だ。ぜひ薦めたいゴルフ本である。

❖ このほか読んだ「ゴルフ日記」本では、金井清一著「自分を叱咤して生きるプロゴルファーの日記」は、プロゴルファーの1年(春夏秋冬)をしっかり書き記した内容で、プロゴルファーの生活とは・・・という問いに応える優れた日記だと思う(太田出版
1990年)。

❖ アマチュアゴルファーの書いた「セントジョージ・ゴルフ日記」は還暦を過ぎてから、本格的にゴルフと取り組もうという人には適した本で、著者倉田節美が体験したアメリカのセントジョージ市にあるゴルフスクールの体験記である。ご本人はこの経験を生かしてシングルになり、ゴルフ余生を満喫している。シニアには大いに参考となる。

❖ 以上「ゴルフ日記」をテーマに2回続けて書いてみたが、いろいろ読んでみると、日記はゴルフ上達に役立つものながら、生活のなかのゴルフがいかに大きな部分を占めているかを思い知る。我々も日頃の日記と併せて、綴って行く「ゴルフ日記」は人生メモとして、後日大きな価値を見出すのではなかろうか。





 石ノ森章太郎の“ゴルフ日記”は面白い!

石ノ森章太郎の“ゴルフ日記”は面白い!!

❖ この酷暑〈これまでに経験したことのない〉暑さとの闘いを強いられている。夜もなかなか寝つけないが、そういう時に睡眠導入剤として、夏坂健の著作を読むのが日課となっている。彼の本はほぼ買い集めたので不足することはないが、彼の巧妙な文章に酔いながら、ほくそ笑みながら寝るのが一番である。

❖ そんな今夏ではプレーなどやっていられるかと諦めている好事家も大いに違いない。そしてゴルフ場も殊のほか淋しいにちがいない。ゴルフ好きにとってプレー以外の楽しみにゴルフ本の読書がある。雑誌の最新号は勿論のこと、ゴルフにのめり込んだ各界の名高い人の本を読むのも楽しいのだ。

❖ この暑さの中、著名な人物で、記憶の薄らぎつつあるゴルフ好事家の本を読んだので取り上げてみたい。今回は“漫画の王様”石ノ森章太郎から・・・。現在シニアの世代で若いころ、楽しんだであろう彼の漫画「GOLF超心理学講座」はゴルフファンの記憶に残る作品だが、「ゴルフ超心理学日記」は漫画を活字にしたような誠に面白いエッセーである。

 ❖ 内容は“漫画家のゴルフ日記”といえばそれそれまでだが、これが実に面白い。ご本人をはじめ業界の第一線で活躍する漫画家10人ほどで「イージー会」というゴルフ会をつくり、月1回のペースでゴルフ会をする。それを中心に、業界でのコンペや友人知人とのプレーを体験的ゴルフ論いやゴルフ観といった内容を面白可笑しく書いている。

❖ この「イージー会」とは全員が50歳を超えていることから、老後は枯山水ではなく“E・RO爺ィ”になり活力を出して行こう、との趣旨で付けられた名前とか。参加したのは石ノ森章太郎ほか藤子不二雄Ⓐ、北見けんいち、千葉てつや、松本零士などなど当時の漫画界代表選手ばかりだ。彼らの作品から伺えない人柄や人物像が描かれていて興味深い。

❖ 石ノ森章太郎のゴルフは90台の実力のようであったが、ゴルフの知識は広く、人の心理やゴルフ心理を読むことにもたけていたようで、ご一緒する方々の描写が漫画家らしい、ユーモアに富んだ筆使いに感心させられながら読み進んだ。

❖ この本は30年ほど前に「GOLFコミック」(秋田書店刊)に連載されたもので、2008年に清流出版から発行された。1990年前後、バブルの余韻が残っている時代に、多忙の中でゴルフ三昧に耽る漫画家たちのゴルフ行状記であるが、当時の“ゴルフ”というものが社会の中でどんな存在であったかを知る上で貴重な資料を提供してくれる。

❖ なお、石ノ森章太郎は21世紀を見ずして、1998年60歳で亡くなっている。いま生きていたら丁度80歳。まだまだの人だったが、でも戦後日本の最もいい時代に活躍されたのだから、その方がよかったのかもしれない、などとひとり肯いている。日記にみえるあのハードスケジュールでは長生きはできなかっただろうな、と惜しんでもいる。

❖ さてこの項、もっと続けたい気分だが、スペースがなくなってきた。取上げたかった作品は、テレビで一世を風靡したパーソナリティ大橋巨泉の「わがシングルへの道」そして、これまた野球界のレジェンド、川上哲治の「ゴルフ狂」を次回に回すことにしたい。ともかくクーラーと扇風機に浸りながらの読書は快適なようで、実はそうでもない。集中力が途切れてしまうのだ。