Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

キャディがギャラリーに吐いた 「尊敬の念」という言葉

キャディが観客に吐いた「尊敬の念」という言葉

❖ 今年の日本オープン選手権は、池田勇太選手が優勝したが、ミスショットでクラブを芝生に叩きつける場面を見かけた。予選突破できなかった石川遼選手にも見受けられた。そういえば、PGAツア今年の初戦「CIMBクラシック」で、調子の出ない松山英樹はクラブを叩く仕草があった。さて、ミスショット時の態度についてどうみたらよいのか。

❖ ある人は、その位はいいのではないかという。また逆に、プロ選手たるものは小さなモラル、エチケットにも気を配る必要があるともという。アベレージゴルファーはどちらの声に耳を傾けるのか、少々気になったので、このテーマを考えてみた。

❖ ミスショットで感情を露わにするプロ選手の話題は今も昔も変わらない。かつてはタイガー・ウッズの態度について、以前に新聞や雑誌が大きく取り上げていたことがある。球聖ボビー・ジョーンズは、若いころにショットをミスすると、クラブを放り投げることがよくあったらしい。

❖ 当時の新聞は「ジョーンズはまだ少年であるとはいえ、ゴルフが意のままにならない時に感情をあのように爆発させてしまってはギャラリーにアピールできない・・・」と書いた。そして自分の感情を抑えられるようになるには、それから1,2年かかった、と「ダウン・ザ・フェアウエイ」に記している。

❖ 選手のプレーを観戦するギャラリーサイドの弥次(ヤジ)についてはどうだろう。こんな例がある。2008年5月の「メモリアル・ト−ンメント」2日目のこと、フィル・ミケルドン、マイク・ウィア、セルジオ・ガルシアのスリーサムが15番ホールのセカンド地点に差し掛かった時、ギャラリーがガルシアに向かって大きな声で「アメリカはお前が嫌いなんだよ」と叫んだ。

❖ アクションを起こしたのは、ミケルソンの長年のキャディ、ジム・マッケイだった。野次馬に掴みかかりそうな勢いでにじり寄り、怒声を浴びせた。「プレーヤーの誰に対しても尊敬の念を持って観戦せよ」といったという。ギャラリーが言ってはいけないこと、プロゴルファーがやってはいけないことが、ゴルフの世界には歴然とある。

❖ 恐らくキャディ、ジム・カッケイが言った“尊敬の念”を、プロゴルファーもギャラリーも心してトーナメントに臨んだら、不遜に思える振る舞いは生まれてこないのではないか。我々はついそのことを忘れてしまう。ゴルフ規則の第1章に「エチケット」が書かれているのはそのためである。改めて我が身を振り返る思いがする。