Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

飛び過ぎる“ボールとクラブ”に規制は必要か? これはプロの話です。

❖ 今年のWGCメキシコ選手権で、ダスティー・ジョンソンのドライバーが387ヤード・パー4のグリーンをオーバーした。2250mの高地にあるゴルフ場とはいえ、中継を見ていて「これは凄い!」と仰天した。今年1月の大会でも443yを1オンした。彼は飛ばし屋で有名だが、それを武器に2年連続ワールド・ランキング・1位である。さて、プロにおいて“ボールとクラブの飛び過ぎ”がこれでいいのか、という問題である。

❖ 正確性は別として、アベレージゴルファーから“ドライバーが300y近く飛び、ピッチングで150y飛んだよ”と自慢する話はよく聴くが、ボールが飛ぶということは誰もがショットに快感を覚える、1つの麻薬みたいなもので、アマチュアの楽しみの1つでもある。だが、プロゴルフの世界ではどうであろうか。プロのなかでも疑問を提起する人も多い。


❖ 先頃読んでいた「帝王ジャック・ニクラウス自伝」に、“飛ぶボール考”という章があり、飛ぶボールについて規制が必要ではないか、という主張が出ていた。今から30数年前からの主張だ。タイガー・ウッズも跳ばないボール推進派だ。R&A(イギリスのゴルフ協会)会長マーチン・スランバー氏は「現在の飛距離はゴルフにとって大変重要な問題で、決してボールだけではない。飛び過ぎることが問題だ」と。

❖ 我々ギャラリーから見ていて、パー4はドライバーの次はショートアイアンでバーディかパーを、パー5では2打で乗せてイーグルかバーディを取るのが現在だ。プロゴルフの面白さは、難コースを14本のクラブを巧みに操って攻めるその戦略やマネージメントに大きな期待があるはずだ。スコアを縮める技だけではないだろう。


❖ M・スランバー氏の「決してボールだけではない」という言葉が重要な意味を持つように思う。ゴルフ業界のなかで用具を生産している企業は、業界を支える極めて大きなポジションにある。広告宣伝をはじめ、男子、女子、シニアの各トーナメントのスポンサーとして支える一方、多くのプロ選手と契約し、莫大な契約金を払っている。そのメーカーが取り組む新製品の重要なポイントは「飛ぶ」ということである。

❖ アマチュアはともかく、プロが使う用具に規定を設けても一向に構わないと思うが、大きな問題として、ゴルフ・メーカーが納得するかどうかだろう。「飛ぶ」という「セールス・ポイント」に変わるものが見つけられるかどうか、大きな鍵を握るのではないか。ゴルフ業界が縮小している現在では、難しい要素が沢山含まれているように思う。(写真は既発売のパーゴルフ誌より)