Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

今年の王者、宮里優作と鈴木愛はパッティング巧者!

今年の王者、宮里優作鈴木愛はパッティング巧者!
〜プレーにおけるパッティング貢献度の不思議とは?〜

❖ 今年のプロゴルフは、男女ともに日本人の勝者が生まれたことにファンとして誇らしく思う。特に女子プロは、韓国勢に押され通しであった過去数年だっただけに、鈴木愛の粘り強いプレーの快挙は高く評価したい。宮里優作は豊富な経験を実践に生かしたプレーで好成績を上げ、ファンを大いに楽しませた。小平智との賞金王争いも面白くしてくれた。
 [写真:マット・クーチャー]
❖ 二人の今シーズンの成績を振り返ってみると、宮里優作は25試合中、ベストテン入りが17回、内優勝4回。鈴木愛は29試合中、ベストテン入りが18回、内優勝2回だった。二人とも出場試合において、6割以上が優勝含めてベストテン入りしている。大変な実力である。したがって平均ストロークもパット数も1位ないし2位の好成績を残している。

❖ 特に注目したいのはパット数だ。平均パット数は1位宮里優作、2位が小平智。女子では1位が申ジエ、2位が鈴木愛という成績だ。宮里優作のパーオン率が8位、鈴木愛が11位という順位をみると、パットの威力の強さが分かる。まさに「パット・イズ・マネー」である。

❖ さて、我々一般ゴルファーは二人のパティング巧者から何を学んだらいいのだろうか? 普通に考えれば、1ラウンド72ホールの内、パープレーで廻ればパット数は平均2パットとして36打、半分の数だ。クラブは1対13で計14本、パター1の役割が50%であり、使用率はどのクラブより高い。これは自明の理だが、なかなか重要視しないのがアベレージゴルファーである。

❖ またパターの重要性は、いかに少ないラウンド数で回るかというゴルフゲームにあって、18ホールすべて最後に使うクラブである、その打数の結果がそのままスコアに反映されてしまうことだ。パターというクラブの位置づけは重要である。その上他のクラブと異なり、体力を必要としないため、メンタルな面に大きな比重がかかってくる特色がある。

❖ パット数が本当にスコアに貢献するのか。PGAツア2004年〜2012年(9年間)のデータを元に、優勝へのパッティング貢献度を分析した米コロンビア大学教授マーク・ブローディは著書「ゴルフデータ革命」のなかで、パターは世間で言われているほど貢献度の高いものではない。パッティング貢献度は平均35%、グリーン以外のショットの貢献度は65%であると分析結果を述べている。

❖ 優勝へのパッティング貢献度(putting contribution to victory: PCV)とは、優勝選手が出場選手全体に対してパッティングで稼いだ打数を優勝選手のスコアと出場選手全体の平均スコアで割ったものと定義されている。PGAツア9年間のデータとは物凄い情報量だが、その分析から貢献度(PCV)35%と割り出されている。かなり信用できる数値ではあるまいか。

❖ このPCVが高い選手ほど優勝に近く、低い選手ほど遠のくか、と思いがちだが、そうでもない。PGAツア9年間のデータでは、3回以上の優勝選手のなかで、PCVの高い選手ほど優勝しているし、PCVの低い選手はグリーン以外で稼いだ打数で優勝できている。優勝する選手は必ずパットが巧いかというと、そうも言えないデータが出ているところに面白さがある。〔下記の写真:マット・クーチャー〕

❖ ではパットの巧い選手は誰か。PCVデータでみると、マット・クーチャー、ベン・カーティス、ビル・ハース、スチュワート・シンク、ルーク・ドナルドが上位5人。PCVが平均35%を下回る選手は、タイガー・ウッズフィル・ミケルソン、ダスティ・ジョンソン、バッバ・ワトソン、セルジオ・ガルシアなどである。今から5年前のデータである。

❖ 今年のチャンピオン宮里優作鈴木愛二人の選手は恐らくこのPCVを測定すると、かなり高い数値を記録するのではないかと思うが、我々アベレージゴルファーはパッティングの練習もさることながら、グリーン以外のショットを確り練習する必要があることを、PGAデータは示しているようだ。

❖ パッティング貢献度を重視する我々アベレージゴルファーは、PGAデータでみる限り必ずしもそうではないと指摘するマーク・ブロディの分析から、プレー全体のクオーリティを上げて行くことを志さねばならないと教えてくれる。 「パット・イズ・マネー」という格言は、現代の数学的分析からみると必ずしも当てはまらないのかもしれない。