Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

 今は無き達人たち“大橋巨泉と  川上哲治”のゴルフ日記が面白い!

❖ 前回は漫画家の石ノ森章太郎の「ゴルフ超心理学日記」を取り上げたが、今回は分野が違っても我々にTVの楽しみを与えてくれて大橋巨泉、彼の書いた「わがシングルへの道」と、野球の楽しみをTVで家庭に届けてくれた巨人、川上哲治が綴った「ゴルフ狂」に触れてみたい。両方とも、その熱の入れようから浮かぶ男の魅力が実に楽しい。

❖ 巨泉は2年ほど前に亡くなったが、“遊びの天才”といわれ、あらゆる分野の遊びに精通した。司会業としての巧みなおしゃべりも、昭和元禄といわれたテレビ時代の寵児となった人物である。若い人には馴染みがないかもしれないが、シニア世代には青春を彩ってくれた人物でもある。

❖ 彼は人一倍のゴルフマニアで、シングルへの取り組みは凄いの一言につきる。その行状記がこの本で、1977年に講談社より、そして1993年には文庫本として出版された。内容はゴルフ手はじめからシングルになるまで、あの多忙な中での猛練習、文庫本には1977年から15年間が加筆されている。

❖ 一読して巨泉の並々ならぬゴルフへの情熱と、人生の伴侶となって行く姿がありありと描かれている。印象として残るところは、我流で始めたゴルフが壁に突き当たり、その度にプロに指導を受け、スイングを直して行く。シングルになるまでに何度壁を突破したごとか、その辺の彼のチャレンジ精神がよく描かれている。

❖ 彼はいう「アマチュアというものは、一つの段階でまとまってしまうと、そのぐらいのスコアではいつでも回れるかわりに、それ以上は進歩しない。ところが、90そこそこで回れるようになってからフォームを直すと、また100に逆もどりする。しかしそこで一つの進歩が生ずるのである。この辺があるかないかがポイントであろう」と。

❖ シングルへチャレンジする過程で、こうしたアマチュアゴルファーの陥りやすい場面を書いているところに巨泉らしさが随所にあって教えられる。あの超多忙のなかでも「ゴルフ手帳」を付けていたこと、その手帳からその時代その時代の過ごした実景を掘り起こし、掘り下げて書いている。

❖ もう一つ、川上哲治著「ゴルフ狂」は、週刊「ゴルフダイジェシュト」に2004年から2年間連載された「喜怒哀楽ゴルフ日記」を改題し再構成しまとめたものである(2006年ゴルフダイジェスト社刊)。日記というタイトルではないが、日記そのものだ。内容は3章で構成されている。

❖ 第1章「日々、頭の中はゴルフのことばかり」、第2章「あの人この人、ゴルフ交友録」、第3章「野球の極意、ゴルフの極意」、と分けられていて、80歳を超える齢にもかかわらず、ゴルフにかける情熱はアマチュアゴルファーのお手本そのものである。王貞治が「オヤジの今なお、少年のような情熱に敬服します! あの齢にして、上達にかけるあくなき探求心、私もマネしたいです。」と推薦文を書いている。

❖ 特に野球が好きな人には第3章に引き付けられるのではないか。野球とゴルフをくらべていわく、ゴルフ上達に役立つ野球練習法とか、宮里藍はさしずめ女イチエローと表現したり、キャディはキャッチャーと同じとか、野球とゴルフの飛ばしの条件など、打撃の神様がゴルフ論を展開する実に興味津々の内容だ。ぜひ薦めたいゴルフ本である。

❖ このほか読んだ「ゴルフ日記」本では、金井清一著「自分を叱咤して生きるプロゴルファーの日記」は、プロゴルファーの1年(春夏秋冬)をしっかり書き記した内容で、プロゴルファーの生活とは・・・という問いに応える優れた日記だと思う(太田出版
1990年)。

❖ アマチュアゴルファーの書いた「セントジョージ・ゴルフ日記」は還暦を過ぎてから、本格的にゴルフと取り組もうという人には適した本で、著者倉田節美が体験したアメリカのセントジョージ市にあるゴルフスクールの体験記である。ご本人はこの経験を生かしてシングルになり、ゴルフ余生を満喫している。シニアには大いに参考となる。

❖ 以上「ゴルフ日記」をテーマに2回続けて書いてみたが、いろいろ読んでみると、日記はゴルフ上達に役立つものながら、生活のなかのゴルフがいかに大きな部分を占めているかを思い知る。我々も日頃の日記と併せて、綴って行く「ゴルフ日記」は人生メモとして、後日大きな価値を見出すのではなかろうか。