Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

アベレージゴルファーにとって、 ゴルフクラブ14本は適正か!

アベレージゴルファーにとって、ゴルフクラブ14本は適正か!

❖ ゴルフシーズン真っ只中、天候に恵まれた日に緑の芝生を意気揚々とプレーする気持ちは誠にすがすがしく楽しいものだ。しかし帰る時になって、14本の入ったキャディバックを担ぐと、これが何と重いことか・・・年を取ると余計重量感を覚える。さて今日のプレーで使わなかったクラブはどれだっけ、と指折り数えてみると、あのクラブこのクラブとその多さにビックリする。

❖ アベレージゴルファーにとって、14本ものクラブをそろえてプレーせねばならないのか、とついつい考えてしまう。そういえば、かの中部銀次郎はシングルクラスの腕前になるまでは、ハーフセットで十分だ、と言っていたことを思い出す。確かに14本を1つ1つ吟味してみると、シングルプレーヤーほどの実力者でない限り、番手の飛距離をしっかり身に付いていない。

❖ そもそもクラブセットが14本と決まったのはどんな経緯か? 資料をひも解いてみると、いくつかの節があるようで、1つは1934〜5年頃、英・全米アマを連覇したローソン・リトルは31本のクラブを使用していた。これに対してキャディがクレームを発し、本数制限のきっかけとなったという節、もう一つは、1936年パインバレーでウォーカーカップが開催された時、聖球ボビー・ジョーンズとイギリス代表トニー・トーランスがクラブ本数制限について会話した。

❖ B・ジョーンズがグランドスラム達成時に使ったクラブは16本、WカップでのT・トーランスは12本以上使ったことはないといい、その間を取って14本をUSGA会長に話したことが元となったという節。結局USGAは1938年、R&Aは1939年にそれぞれ14本という規定を設けた(注1)。恐らくこの1930年代のアメリカ・イギリスのゴルフ界では、クラブの本数制限について大きな話題になっていたのではなかろうか。

❖ クラブセット14本の制限規定の経緯は以上のようであるが、話は元に戻って、アベレージゴルファーには14本が必要かという疑問。われわれ実際のプレーでは恐らく10本程度のクラブを使っているに過ぎないのではないだろうか。14本あるからという訳で、練習場へ行けばドライバーからサンドウェッジまで順番に打って行くが、もしハーフセットの7本であればどうするか。

❖ 恐らく、4番ウッドや7番アイアン、ピッチングウェッジなどは、その番手の自分の距離以外に短めの距離のスイングを練習するであろう。7番アイアンが150ヤード前後なら140ヤード、130ヤードのショットの練習、ピッチングなら100ヤード以内の距離すべてを、サンドウェッジはバンカーのみに限定するとか・・・。

❖ 1つのクラブで数通りの打ち方をできるようになると、そのクラブの特徴が分かってくるのではないか。14本よりハーフセットの方がプレーとクラブのバランスが理解でき、トータルではスコアメイクにつながるような気がするがどうであろうか。不思議なもので人間は14本と制限されると、その範囲以内のクラブすべてを使って頑張ろうとする。この“意地”みたいなものが、かえってゴルフ上達にブレークを掛けているのではないか、などと思ったりする。

❖ 作曲家の神津善行さんが最初にフルセットを買って帰った時、ゴルフをされないお母上に「なんで同じ物をこんなに何本も買ってきたの」と叱られた、というエピソードを鈴木康之氏が「決め間違えた罪な14本」(注2)というエッセイ―に書いている。このセリフを俯瞰的に受け止めてみると、神の言葉のように聴こえるのは私だけであろうか。


※(注1)参考資料1:「世界ゴルフ見聞録」大塚和徳著/日本経済新聞社 2008年発行
※(注2)参考資料2:「脱俗のゴルフ〜続・ゴルファーのスピリット」 鈴木康之著/ゴルフダイジェスト新書  2009年発行