Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

 石ノ森章太郎の“ゴルフ日記”は面白い!

石ノ森章太郎の“ゴルフ日記”は面白い!!

❖ この酷暑〈これまでに経験したことのない〉暑さとの闘いを強いられている。夜もなかなか寝つけないが、そういう時に睡眠導入剤として、夏坂健の著作を読むのが日課となっている。彼の本はほぼ買い集めたので不足することはないが、彼の巧妙な文章に酔いながら、ほくそ笑みながら寝るのが一番である。

❖ そんな今夏ではプレーなどやっていられるかと諦めている好事家も大いに違いない。そしてゴルフ場も殊のほか淋しいにちがいない。ゴルフ好きにとってプレー以外の楽しみにゴルフ本の読書がある。雑誌の最新号は勿論のこと、ゴルフにのめり込んだ各界の名高い人の本を読むのも楽しいのだ。

❖ この暑さの中、著名な人物で、記憶の薄らぎつつあるゴルフ好事家の本を読んだので取り上げてみたい。今回は“漫画の王様”石ノ森章太郎から・・・。現在シニアの世代で若いころ、楽しんだであろう彼の漫画「GOLF超心理学講座」はゴルフファンの記憶に残る作品だが、「ゴルフ超心理学日記」は漫画を活字にしたような誠に面白いエッセーである。

 ❖ 内容は“漫画家のゴルフ日記”といえばそれそれまでだが、これが実に面白い。ご本人をはじめ業界の第一線で活躍する漫画家10人ほどで「イージー会」というゴルフ会をつくり、月1回のペースでゴルフ会をする。それを中心に、業界でのコンペや友人知人とのプレーを体験的ゴルフ論いやゴルフ観といった内容を面白可笑しく書いている。

❖ この「イージー会」とは全員が50歳を超えていることから、老後は枯山水ではなく“E・RO爺ィ”になり活力を出して行こう、との趣旨で付けられた名前とか。参加したのは石ノ森章太郎ほか藤子不二雄Ⓐ、北見けんいち、千葉てつや、松本零士などなど当時の漫画界代表選手ばかりだ。彼らの作品から伺えない人柄や人物像が描かれていて興味深い。

❖ 石ノ森章太郎のゴルフは90台の実力のようであったが、ゴルフの知識は広く、人の心理やゴルフ心理を読むことにもたけていたようで、ご一緒する方々の描写が漫画家らしい、ユーモアに富んだ筆使いに感心させられながら読み進んだ。

❖ この本は30年ほど前に「GOLFコミック」(秋田書店刊)に連載されたもので、2008年に清流出版から発行された。1990年前後、バブルの余韻が残っている時代に、多忙の中でゴルフ三昧に耽る漫画家たちのゴルフ行状記であるが、当時の“ゴルフ”というものが社会の中でどんな存在であったかを知る上で貴重な資料を提供してくれる。

❖ なお、石ノ森章太郎は21世紀を見ずして、1998年60歳で亡くなっている。いま生きていたら丁度80歳。まだまだの人だったが、でも戦後日本の最もいい時代に活躍されたのだから、その方がよかったのかもしれない、などとひとり肯いている。日記にみえるあのハードスケジュールでは長生きはできなかっただろうな、と惜しんでもいる。

❖ さてこの項、もっと続けたい気分だが、スペースがなくなってきた。取上げたかった作品は、テレビで一世を風靡したパーソナリティ大橋巨泉の「わがシングルへの道」そして、これまた野球界のレジェンド、川上哲治の「ゴルフ狂」を次回に回すことにしたい。ともかくクーラーと扇風機に浸りながらの読書は快適なようで、実はそうでもない。集中力が途切れてしまうのだ。