Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

*プロの“一打の重みと心理“を想像してみると・・・〔Part 1〕

プロの“一打の重みと心理“を想像してみると・・・
〜韓国の新鋭:チェ・ヘジンの場合〜〔Part 1〕

❖ 我々アベレージゴルファーにとって、あのティショット、あのショートパットにより、好成績が手の平より零れ落ちてしまった経験をお持ちの方も多いと思う。今年の「全米女子オープン」(トランプナショナルGCベドミンスター)で、優勝を争っていた韓国のルーキーアマ、チェ・ヘジンの16番ホールの池ポチャは忘れがたいプレーだった。

❖ また今年の「全英オープン」の最終日、スタートホールで松山英樹のティショットは忘れがたいプレーとなった。打った瞬間真っ直ぐ飛び出したと思ったボールが右のOBソーンへ入ってしまったのだ。ゴルフにおける“一打の重み”を思い知らされる出来事だったが、ゴルフには魔物が住んでいることをよくみせてくれた、記憶に残るシーンである。

❖ まずは、今年の「全米女子オープン」から・・・。最終日16番ホールの時点で、トップはパク・ソンヒョンとチェ・ヘジンが〈ー10〉で並び、1打差にフォン・シャンシャン。チェ・ヘジンは「全米女子オープン」初の最年少優勝(17歳)がかかっていた。16番ホールは139yのショートホール、左から半島のように突き出ているグリーンは周りが池である。ピンは半島の突端にある。彼女は何を考えてショットをしたのか? 

❖ 同スコアのパク・ソンヒョンは18番パー5でバーディを取って来る。自分も取る。すると勝負はこの16番にあると考え、彼女はバーディを狙った。(このホール、パクはバーディを取っていた。)9番アイアンで、グリーン右突端にあるピンの左1ピン前後をドローで狙うというイメージだ。グリーン右は池で狙えない。ところがショットはドローせずに真っ直ぐ右に出て池に落ちたのだ。

❖ 17歳のアマにしては度胸満点、積極的に攻めるタイプの彼女、どのショットをみても歯切れがいい。飛距離も大きい。そうした彼女のこの1打に込められた思いは4日間の中でも最も重かったに違いない。メジャー大会であること。オ−プン初の記録がかかっていること。そしてトランプ大統領の観戦などなど、勝負のかかったショットには大きなプレッシャーがあった。

❖ こうした時に、いくつかの要因が巧く噛み合わないこと成果が出ない。その要素とは、心で考えること、頭脳から筋肉への指令、筋肉の動作の連携である。彼女の失敗はここにあったのではないか。若さと技術だけでは通らない、ゴルフで最も大切なメンタル要素の連携である。この経験は、これから大いに活躍するだろう彼女の勲章になるに違いない。

❖ 「全米女子オープン」今年の結果は、パク・ソンヒョン(23)がー11で優勝、彼女のプレースタイルもチェ・ヘジン同様飛距離を出し、攻めて行くタイプだった。このところ韓国女子選手は、こうしたタイプが多くなってきている。大きな変わり目か。さてもう一つの“一打の重み”は今年の「全英オープン」、松山英樹のスタートホールでの出来事にも通ずるが、これについては次回に譲ることにしよう。(了)

※《参考資料》「ゴルフ頭脳革命」アラン・ファイン著 白石 豊訳(大修館書店刊)