Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

*プロの“一打の重みと心理“を想像してみると・・・〔Part 3〕

 プロの“一打の重みと心理“を想像してみると・・・〔Part 3〕 
〜全英O:ジョーダン・スピースのこの1打!〜

❖ 昨日(2017.8.7)行われた「WGCブリヂストン招待」最終日は、松山英樹の圧倒的な強さで終わった。2位に5打差をつける快挙の優勝だった。先の全英オープンの起死回生でもあったといえる。
“一打の重み”今回は全英オープンにおけるジョーダン・スピーズの歴史的ショットに触れてみたい。成功した1打のショットがその後のプレーを劇的に変えてしまうという事例といえよう。我々にも大いなる教訓だ。

❖ テレビ中継を見ていなかった方のために、その時の状況を少々触れておく。最終日、〈−11〉でトップ走っていたスピースは、〈−8〉のマット・クーチャーと最終組スタート。前半のスピースは不調で3打落としてM・クーチャーと並んでいた。後半の13番ホール(499y)のパー4でミラクルショットが生まれたのだ。

❖ ティショットのボールは右小山のブッシュの中へ・・・。スピースは両手で頭を抱えるほどであったから、一瞬、昨年の「マスターズ」の二の舞いが閃いたかもしれない。昨年の「マスターズ」12番ショートホールで7打を叩き、優勝戦線から遠退いたショットのことだ。

❖ 今回はここからが見せどころで、ブッシュのボールは打てず、アンプレアブルを宣言、後方へ下がる。そこは運搬車駐車場で直線距離では打てない。ルール委員と相談の結果、もっと後方に下がり、打つことになる。そこは練習場のスペースで、100y余も下がるところとなった。そこは小山越えでピンは見えず、距離は250y余もあった。

❖ スピースは3番アイアンで打った。カメラはボールを追う。着地点はグリーン奥左のバンカー上。ギャラリーから拍手が起こった。この一打ほど凄いものはなかった。この2打を打つまでの時間は29分を要したという。現場にいた青木功プロ、戸張捷コメンテーターが口を揃えて、“歴史に残るショット”と言った。

❖ 彼はそこから2打で上がり、ボギーとした。この時点でM・クーチャー〈−8〉スピース〈−7〉と逆転される。しかしこのグッドショット以降、スピースは本領発揮を発揮し、しかもゾーンに入ったプレイを繰り広げた。14ホールから18ホールまで〈−5〉を叩き出し、合計〈−12〉となる記録的なショット、パットの連続で優勝する。何ということか!!

❖ 思えば13番のミラクルショットが奮起を促し、スピースの実力を如何なく発揮した。もう神がかりといっていい。「全英オープン」は毎年我々に名勝負をみせてくれるが、今年の歴史に残るスピースの活躍は称賛に値する。昨日の「WGCブリヂストン招待」でみせた松山英樹の上がり3ホールの連続バーディも圧巻で全英のスピースに迫るものがあった。

❖ スピースの、13番ホールの会心の1打が、不調なプレーのリズムを一転させ、ベストプレーを生み出すという、言ってみればゴルフの不思議な世界を作り出す現実をみせてくれた。我々アベレージ・ゴルファーにとっては、1打のショットが良好なリズムを生み出すという教訓ではなかったか。(了)