Golf My Wonderland

ゴルフエッセイ~見たこと読んだこと気づいたこと~気ままに書いています。

全米オープンで思い出した映画「グレイテスト・ゲーム」〔Part 1〕

❖ 明日7月20日からの「全英オープン」と8月10日からの「全米プロゴルフ選手権」とメジャーが続く。松山英樹の活躍を期待したいところだ。英樹の「全米オープン」2位という記録は、青木功と並んで日本人最高位の成績だが、何と37年振りというから大したものである。メジャー制覇も見えてきた。ゴルファーの期待が高まるばかりである。

❖ ところで、先の「全米オープン」をTVで見ていて思い出したのが映画「グレイテスト・ゲーム」(2005年Disney製作)。今から104年前の「全米オープン」の勝者、フランシス・ウィメット(当時20歳)のゴルフ史に残る名勝負を描いたもの。対戦相手は全盛期を誇る英国のハリー・バートンと名手テッド・レイ。ゴルフ史上名勝負として語り継がれているものだが、まだ映画を見ていないゴルファーのために少しご紹介しよう。


❖ 時は1913年、場所はマサチューセッツ州ブルックラインにある「ザ・カントリー・クラブ」(名門コース)。主人公ウィメットは植木職人の子として生まれ、幼い時からこのゴルフ場の近くに育ち、学校へ通いながらキャディのアルバイトもしていた。その甲斐あってゴルフコースとプレイには滅法詳しく上手くなり、高校時代には州のゴルフ大会で好成績を上げるまでになっていた。(当時のゴルフは上流社会中心のスポーツだったことがよく描かれている。)

❖ 高校卒業後は父との約束もあり、ゴルフから離れて「スポーツ店」に勤めた。1913年「全米オープン」が自分の親しんだ「ザ・カントリー・クラブ」で開催されることになり、英国から、かの「ハリー・バードン」と気鋭「テッド・レイ」、米国のトップゴルファたちがやって来る。そんな中、USGA会長に地元ゴルフコースの強みを買われて、ウィメットにトーナメント出場の誘いが舞い込む。悩んだ末に参加を決める。

❖ ゴルフからは離れていたウィメットは、急遽特訓を乗り越え大会に臨む。その時自分のキャディがおらず、友人の弟10歳の少年に頼むことになる。映画は、前半を彼が大会に参加するまでの様子を描き、後半は歴史に残るハリー・バートンとウィメットのプレイ展開を活写する。結果は無名のウィメットがバートンとプレイオフの末に優勝を果たし、米ゴルフ界の寵児となる。弱冠20歳であった。

❖ ゴルフファンにとって、映画の魅力は、米国における20世紀初頭の階級社会の中でゴルフを続けることの難しさ、ゴルフ界の雰囲気、あるいはゴルフ用具、スポーツとしての集中力と精神力の強さなど、細かいところまで遺憾なく描かれていて、ゴルフファンにとって見落とせないシーンばかりである。この映画のもうひとつの魅力は、実話であった10歳のキャディ、エディ・ロワリーがプレイ中のウィメットに心理的重圧を取り除き、はやる心を落ち着かせる有能なキャディ振りが描かれ、映画の面白さを浮き立たせている。

❖ 詳しく記すスペースはないが、ぜひ映画「グレイテスト・ゲーム」を見ていただきたい。長いゴルフ生活を持つ方にもゴルフの奥深さを一層感じられるだろう。この記念すべき「全米オープン」とウィメットの実話について、次回にもう少し触れたみたい。(了)